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相変わらず小雨空が続く今週。
今日は湿度も高く、晴れ間が見えない割には、屋内に居るとムシムシとした嫌な空気が充満。

それでもヘルサマーと呼ばれる日本特有の暑い夏を前にすれば、これもまだ過ごし易いと言うべきでしょうか。

少しずつ真夏の暑さが近づいていますが、身体も急激な気温変化にはついて行けません。
この蒸した時季に身体を徐々に慣れさせたいですね。

さて、今日は当店が待ちかねていたネクタイのニューカマーが到着。

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それがイタリア、コモのブランドStefano Cau(ステファノ・カウ)。

イタリア、コモ湖と言えば多くのタイメーカーが軒を連ねる、イタリア繊維産業の聖地。
元々ネクタイ製造をしていた家系に生まれた彼は、数々の一流ブランドのタイのテキスタイルを手掛け、25年間世界中で培って来た経験をもとに、2008年に自身の名を冠したブランド”Stefano Cau”を立ち上げました。

彼の作りだすネクタイは全て専門の職人達による手作業で行われ、クラシックをベースに彼らしい”しなやか”で”エレガント”な物作りが魅力の一つ。

彼の作るタイは、北イタリア(ミラノ等)のシャープで無駄のない美しさと、南イタリア(ナポリ等)の手仕事に拘る温もりの、それぞれ両方が同居する様な、独特な魅力があります。

当店(或いは私)が、この業界に身を置いて早30年近くが経とうとしていますが、その間、様々な国、ブランドのタイを締めて来ましたが、”適正な価格”で”魅力ある生地”、そして”手仕事による作りの確かさ”、それらの全てのバランスが整っていると感じたのが、Stefano Cauでした。

”高価だから良い物” と言う先入観は、もはや過去の遺物。
現代は、”何を以て自分にとって最適か”を見極める事が、大切なファクターで在る様に思えます。

これは当店が現在の地にお店を始めて以降、変わらない要素です。

余談ですが、数年前、彼が来日した際、こんな事を言っていたそうです。

「くたびれた格好をして下を向いている人、頭の先から爪の先まで気を使っている人、その両方が日本には居ます」

と。

つまり、日本人はとかく”仕事の為の戦闘服”としてスーツやタイを締めている人もいれば、”御洒落を愉しみ”ながらスーツを着たりタイを締めている人がいると言う事。

それは

「世界中を見渡しても、そこまで気を使っているのはイタリア人と日本人だけでは無いでしょうか?」

と言う彼の言葉にもある様に、清潔感があったり、信頼感があったり、印象だけで作られるスーツやタイの装いは世界中どこの国にも居るが、”御洒落を愉しみながら”スーツを着て、タイを締めると言う人は、2国の一部にしか見られないのではないか、と言う(私は)解釈をしました。

それ程、御洒落の真髄は奥深く、また様々な愉しみ方が在ると言う事も窺い知れるのですね。

と、前置きはこれ位にして、今回当店がオーダーしたCauのタイは、全て”セッテピエゲ”で仕上げて頂きました。

セッテピエゲをご存じ無い方は後程、脚注させていただくとして、先ずご紹介したいのが、絶対必須とも言えるソリッドタイ3色です。

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クラシカルにも、モードにも、勿論ビジネスにも、欠かせないタイと言えば、ソリッドカラーのタイですが、今回選んだ生地は、非常に肉厚でシッカリとした感触があるにも関わらず、非常にしなやかで、身体の動きに対して、まるでたなびくかの様な柔らかさ、動きを見せる特徴的なシルクサテンを使用しています。

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作りは、イタリア語で”スフォデラート”(裏地或いは芯地の無い)の仕上げで、一般的に芯地を使う物が多い中、彼の作りだすタイの多くに、このスフォデラートを採用しています。

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多くの取り扱い店がスフォデラートで仕上げるのですが、それらに加えて当店は更にセッテピエゲを採用する事で、見えない部分にも拘りを取り入れました。

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今回のタイは、全て縁はハンドロール(手縫い)されています。
一針一針縫われている事が直ぐに解る緻密な縫い目や、温もりのある凹凸は、見る者の目を留まらせます。

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またこの生地特有の美しい光沢は、まさにエレガントそのもので、その美しくしなやかな雰囲気を損なわない為にも、スフォデラートは必須であり、またそれらを更に確固な物にしてくれるのがセッテピエゲでもあります。

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セッテ(7)ピエゲ(折る)の名の通り、7回折り畳んで作られている為、裏側はこんな仕上がりになっています。

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また大剣、小剣の両方に施されているカンヌキ(勿論、手作業)には、イタリアントリコロールがさり気なく使われているあたりにも、このブランドの拘りが見え隠れします。
(このカンヌキ部分はブランドアイコンにしている様で、1か月に1000本程度しか行えないのだとか)

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小剣の縫い終わりには、スリップステッチ(たるみ糸)も在ります。

「今更聞けない・・・」と言う人の為に、このたるみ糸は、ネクタイに程よく緩みを与えて置く事で、締めやすくするのですが、長く使い続け、形が崩れて来たりした時に、このループを引っ張ったり調節する事で、或る程度修正する事が出来ます。

(先日、「この糸は切っても良いのですか?」と言う質問が在りましたが、間違っても切ってしまうと言う事が在りません様に、念のため書いておきます(笑))

このスリップステッチは、ハンドメイドのタイにのみ見る事が出来ます。(当店取り扱いのタイは全てついています)

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小剣にもトリコロールのカンヌキ。
一つ一つが手仕事の為、表情が異なっているのも、ハンドメイドならではの魅力です。

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クラシックなスーツスタイル、バンカー、弁護士、様々な仕事でも出番が多いであろうネイビーのソリッドタイも、こうしたセオリーで使う他、デニムのシャツに締めたりすると、グンとカジュアルな装いがステージアップされたりします。

”愉しみながら”タイを締めると言うのは、ちょっとしたアソビが在ってこそですね。

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ネイビー同様、一本は持っていたいのがダークブラウンのソリッドタイ。
ネイビーと比べると、渋みや大人の貫禄を感じさせてくれるダークブラウンは、ウールやリネン等ではなく、シルクサテンで選ぶのが正解。

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秋冬のヘリンボーンなどツィード素材にはブラウンのウールタイも良いのですが、どこかカントリーな香りが漂います。

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しかしシルクサテンならば、軽快な印象も加わり、また今回のタイの様に”エアリー”な雰囲気が加わる事で、ブラウンのタイへの印象も大きく変わるはずです。

グレーのスーツやジャケット、ネイビーのスーツやジャケットにも合わせ易い、お勧めのカラーです。

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そして少し洒脱な印象を与えたいと言う人にお勧めなのが、このシャンパンベージュ。
光沢が生まれる事で、ベージュカラーがシャンパンカラーのように映る為、華やかさと若々しさが加わり、普段身に着けているグレーやネイビーのジャケットやスーツの印象がガラリと変わります。

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季節感が無いのもソリッドタイ(シルク)の良い点。
光の当たり方によって、異なる表情を見せる濃淡のシャンパンベージュは、他では味わえない特別な魅力を持っています。

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スフォデラートと言う軽さとしなやかさにメリットを持つタイだからこそ作られる、”良い抜き加減”が堪能できるはずです。

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そして最後にお勧めしたいのが、このブロックストライプのシルクグログランの一本。

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グログランの生地目をバイアスに使う事によって、斜めに走る太幅のストライプは、レジメンタルとも違って、またソリッドカラーでは味わえない絶妙なコントラストがポイントです。

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ダークブラウンとミディアムブラウンが交互に並び、派手さは無いものの、全体に味わい深さを与えてくれるのも、このタイの魅力です。

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実際には光沢があるこの生地ですが、グログランによって一見マットな質感にも見せてくれます。
近い色合い2色が重なり合い、独特な味わい深さも作りだしてくれる、まさに大人向けの一本。

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ネイビー、グレー等の一般的に多くの人が身に着けるスーツやジャケットの他、ツィーディーな素材やブラウンなど、ちょっぴり変化のある色や素材にも合わせ易く、見る人に”落ち着き”も感じさせてくれる魅力的なタイです。

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夏の間は(出番は少ないかも知れませんが)、ジャケットを脱ぐ機会も多く、やはりタイが主役。

同じ仕事をするなら、やっぱりカッコ良く在りたいと思うのが男心。
今回のタイは全てが同じ作りで、そこにはネクタイが(どんな動きをしても崩れないような)飾りとなっている様な人とは違う、”生き物”のように身体の動きと共に表現してくれる物であることが、きっと伝わります。

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気分一新で新調するのも良し、また今までタイを余り締めなかった人には、これを機会にタイの魅力に改めて触れて頂いたり、或いは、大切なパートナーやお世話になった人へのプレゼントなど、タイには色んなストーリーが含まれるものです。

今回ご紹介したStefano Cauのタイは、実は全く同じ色、素材で、お揃いのスカーフ(Stefano Cauでは、正方形の物をBandana=バンダナと呼んでいます)も、作っています。

ネクタイは締めないけれど、スカーフならば、、、と言う人、或いは、女性の方の中にも、男性の様にタイを締めたりしたいけれど、さすがにタイは、、、と言う人も、このお揃いのスカーフなら、同じニュアンスが楽しめます。

大きさも指定してオーダーしていますので、締め方も様々な締め方が出来ます。

気になる方、実際見て見たい方も、是非今週は店頭へお出かけ下さい。

勿論、オンラインストアのご利用もお待ちしております♪


※注釈 セッテピエゲについて
”Sette Pieghe”(イタリア語)とは、セッテ(数字の7)と、ピエゲ(折り)を指す様に、文字通り7つ折りによって作られたタイの仕様。
英語圏ではSeven Fold Tie(セブンフォルド)とも呼ばれ、芯地を抜いて作られた物が多く、生地を7回折り畳んで作られたものをセッテピエゲ、4回折り畳まれて作られたものをクアトロピエゲ等と呼びます。(中には9回折り畳んだものもあります)

またスフォデラート(裏地無し)と勘違いし易く、共に裏地が無い為、内部の作りを見る事で知る事が出来ます。



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オンラインストアでは一足早くクリアランスセールがスタート!
これから始まる夏の装いを是非この機会に揃えてください。





【営業日のお知らせ】
いつも当店をご利用頂きまして誠にありがとうございます。
当店は基本的に不定休となっております。
その為、店休日が不規則となります為、店頭或いはONLINE STOREトップページにて、ご確認の上ご利用下さい。

【7月の店休予定日】
7月8日(木)、15日(木)、20日(火)、27日(火)
※木曜日・日曜祝祭日は19時閉店
(営業上の理由により店休日が変則的になる場合が御座います)


【オンラインストアのご利用の方へ】
当日15時以降の御注文につきましては翌日のご対応とさせていただきます。
店休日前日・当日のご注文の場合は、発送業務が翌営業日となります。
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