当店には様々な依頼が集まるパーソナルオーダー。
その用途はビジネスに始まりカジュアルまで、ジャケットやコート、ベスト、トラウザーズと可能な限りアイディアを繋ぎ合わせて顧客様の要望に近付ける作業をします。

特に私達の仕事を愉しくさせてくれるのが『オフユースのオーダー』です。

ビジネスシーンでのオーダーが愉しくないのではなく、仕事上制限のあるオーダーとして、依頼主が使いたいと思う生地が使えなかったりする事も多く、その反面オフで使う為のオーダーには、普段選ぶ事の無い生地や仕事とは無関係の生地などを選べたりするためです。

そんな中、今日は年末にご依頼を承った顧客様が(県外在住の為)ようやくお受け取りに見えられ、そのご依頼の"コート"をご紹介させて頂きたいと思います。

遡る事2か月前。
顧客様のオーダーは一つのテーマのもと始まりました。

それは当店が顧客様方と共有して見ている「海外のスナップ写真」に在る数枚の写真。

元々当店が昨年からお勧めしていたオリーブカラー。
それらにリンクした『オリーブカラーのコート』を着たスナップ写真の数々。

経緯は過去のブログにも記しておりますので、ご興味のある方はコチラからご覧ください
過去ログ(1)(2)

女性が纏い、尚且つ女性的で在りながら"ミリタリー"ぽさを感じさせるもの、それらをコートで表現する事から提案し始めました。

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ズバリ、テーマは『フレキシブルに使えるミリタリーテイスト』のコートです。

このテーマをそっくりそのまま取り入れる訳ではなく、顧客様の要望でもあった「ジャケットやスーツの上にも着られて、カジュアルにも着られて、その後もアレンジで楽しめる物」である事が重要でした。

そこには当店が誂えた物は、後々アレンジを加えて何年も楽しめる様、「その先何年後の姿も想像しつつアイディアを提案する」長いお付き合いを得られるものである事も前提です。

アイディアは様々でしたが、今回このお客様に提案し、そして誂えて頂いたのが脛下まで長さのあるダブルブレステッドのロングコート。

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このお客様は身長が165㎝と高く、そのままの寸法でお作りするよりも、幾つかの変更を取り入れ、向こう何年かのち、再び補正を行ったり、アイディアを加えて様々な愉しみを得て頂く様にしました。

勿論、見た目だけでは何も判りません。

目に顕れる箇所で当店が実際の採寸とは別に確保したのが、肩幅、背幅、胸幅、袖筒、アームホール、腰位置、ポケット・ボタン位置、長目のベント、そして着丈のストレッチ(長くする)。

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人には必ず『美しく見える箇所』があります。

このお客様の場合には恵まれた165㎝の身長を活かしつつ、脚が最も綺麗に見える丈(A)を先ず決定しました。

女性にとって膝下の"どこ"で丈が終わっているかは非常に重要です。
それはコートに限らず、スカートでもジーンズでもパンツ全般にも言える事。

当店はこのバランス位置をとても重要視します。
(その為既製品でも一人一人丈詰めする位置をお伝えしながら変えています)

次に身長に対してボリューム(大きさ)だけが突出しないよう、ウエスト位置を高めに作りました。(B)

これと共に背面のセンターベントも非常に深い位置まで長く取っています。

この二つだけでも『ウエストコンシャス』な見た目になります。

勿論、ボタン位置やポケット位置も準じて高い位置に設置。
(写真ではフラップをポケットの中にしまっていますが、実際はフラップポケットです)

そして最も頭を悩ませたのが(C)の袖筒の幅です。

通常ならば採寸した通りに腕に沿う様な寸法でお仕立てした方が、女性の場合にはほっそり美しく見えると考えるはずなのですが、今回ご要望の中にもあった「スーツやジャケット」「厚いニット」を着て、更に羽織れる物と言うお申し出に沿って、ややゆとりを持たせつつ、肘回りだけを絞り、再び袖先で広がりを作る(実際にはそこまで大袈裟に寸法は取っていませんが)事でご納得いただきました。

今日お受け取りに見えた装い(ハイゲージのニット一枚)でも、腕が泳ぎすぎる事なく仕上がりました。

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更に上胸がある為、前身幅の補正を行い胸回りを窮屈にせず、ゆとりを持たせ、更にラペルの幅も広げる事によって胸回りも自然な表情に仕上げています。

その他にも数字上にしか表れない数々の工夫を取り入れながら出来上がった今回のコート。

実際、店頭に何度か足を運んで頂いていると「このお客様の美しく見せられる場所はここ、ウィークポイントはここ」と、そのお客様の体形に最も最適なバランス装いが提案出来るようになります。

フィッティングを終えた顧客様から

「ああ、思い切って作って良かった」

との言葉を聞いた時、我々の仕事の中で、最も充実感を得られます。

更に素材のご提案や選択に間違いがなかったとも仰って下さいました。

生地見本ではマットに見えていたこの素材(Canonico社製フランネルSuper100's)も、仕上がると素材そのものが持つ微光沢が生まれ、特にコートの様に長い尺を使いたなびく様に流れる生地には、より光沢が目に解り易くなります。

こうして、先ずは仕上がりを愉しんで頂き、今後はボタンをホーン(水牛)からメタルのボタンに変えたり、ウエストに太目のレザーベルトをあしらったりなど、これからの楽しみ方も提案しつつ、お客様と共にアレンジや楽しみ方を考えて行く喜びも在ります。

一つのテーマ

に基づき始まったパーソナルオーダーは、何を作ろうか?と悩みながら作るよりも、各段に納得のいく仕上がりや世界観の共有、提案が適えられるものです。

いよいよ2週間後は春のパーソナルオーダー第二弾が始まります。
これから生地の検討に入られる方も、或いはお気に入りのスナップをお持ちの方も、是非お気軽に店頭へご相談にいらして下さい。

そして何を作ろうか考えられない、、、と言うノープランな方も、当店へ「丸投げ」でも大丈夫です。
今後愉しむための一着を、ストーリー性を持ってご提案させて頂きますので、是非ノープランの方も、先ずは気軽にご相談下さい。

最後に決めるのはお客様ですが、きっと納得のいく一着が出来上がると思います♪




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